安曇野の「絵本美術館&コテージ森のおうち」(安曇野市穂高有明、TEL 0263-83-5670)で現在、「宮沢賢治絵本原画展」が開催されている。
期間中、宮沢賢治の作品にインスピレーションを得た画家たちが描いた原画やタブロー50点以上を展示している。
同館で毎月開いている「楽しみながら学ぶ宮沢賢治講座」を受講中のイラストレーター・小松香苗さんが、物語「インドラの網」と「二十六夜」の挿絵を描いた。講座で学んだ2作品を読み込み、「インドラの網」は約4カ月かけて制作した。宗教色の強い地味な場面を丁寧に描き、賢治の思想感を表現。小松さんは「端々に響き合うような美しい描写」と賢治作品の魅力を語り、「描いているうちに思い入れが強くなった」と振り返る。
画家・絵本作家として戦後、精力的に制作活動をしてきたユノセイイチさんが描いた「貝の火」、紙芝居「ふたごのほし」の原画も展示する。
貴重な資料として、賢治の生存中に唯一刊行され、現存する詩集「心象スケッチ 春と修羅」の初版本も紹介。1924(大正13)年に同タイトルの詩集が1000冊自費出版され、現存するのはそのうち40冊ほどといわれる。初版本には、誤植の部分に賢治の直筆と見られる書き込みが残っている。同講座の受講生が購入した。
同展について、酒井倫子館長は「教室の一つの成果。違った視点で楽しめる作品展」と紹介する。
開館時間は9時30分~17時。木曜日休館。
入館料は大人800円ほか。4月13日まで。