長野県大町市の駅前本通り商店街に1月22日、ブックカフェ「三俣山荘図書室」がオープンした。開店から1週間がたち地域住民や山の愛好家らが足を運んでいる。
北アルプスの山荘を経営する三俣山荘事務所(安曇野市穂高)の伊藤圭さんが北アルプスの山と町とをつなぐ拠点として企画。入山口の大町から情報を発信することで、山に興味を持ってもらい登山者の裾野を広げたいとの思いでプロジェクトを始めた。コロナ禍で山荘の利用客が激減し、業態の見直しを考えたことも後押しした。
伊藤さんは父の正一さんから山荘を受け継ぎ、大町市の入山口から北アルプスの最奥地にある三俣山荘に至る「伊藤新道」の復活に向けての整備も進めている。ブックカフェを2020年夏に構想し、呉服店だった建物の3階部分を約1年かけて仲間と共に改修した。
北アルプスのフィールドで山荘を営むことから自然環境の保全を意識。店内の電力にはソーラーパネルによる太陽光を用い、暖房にはペレットストーブを使うなど再生可能エネルギーで賄う。本棚には、登山や環境問題、食や映画などのテーマにちなんだ約400冊が並ぶ。サーキュラーエコノミーの活動に取り組むアウトドアメーカーによる登山道具なども展示・販売する。
店内に設置した大型スクリーンを使い、「金萬映劇」の名で山にまつわる作品やインディペンデント系作品を中心に映画も上映。3月下旬にドキュメンタリー映画の上映を予定する。
メニューには、コーヒーをはじめとしたドリンクやサンドイッチやスコーンなどの軽食が並ぶ。三俣山荘でも提供するブレンドコーヒー(600円)は廃材を燃料にお湯を沸かすケリーケトルでいれる。地産地消のコンセプトで地元の日本酒やクラフトビールも提供する。
伊藤さんは「図書室に来れば新しい発見があるはず。北アルプスを目指す人が集まるアウトドアの中心地としてまちおこしにつながれば」と期待を込める。建物の1階・2階部分のゲストハウスなどへの利用も構想する。
営業は金曜・土曜・日曜・月曜の11時~17時。