長野県のレッドデータブックで、絶滅の危険性が極めて高い絶滅危惧IA類(CR)に指定されている寄生生物オカウツボが6月18日、池田町の高瀬川左岸の高水敷で発見された。
「高瀬川を愛する会」を昨年有志で立ち上げ、同所を自然散策路として保全・整備する活動を進める吉富千代美さんが、オトコヨモギの群生に混じり紫色の花を咲かせた15~20センチほどの4株を確認した。
オカウツボはハマウツボ科の寄生植物で、葉緑体を持たず、日当たりのよい草地に生えるとされている。1988(昭和63)年発行の「池田町誌自然編」では「唯一の特産種」として紹介され、1981(昭和56)年に高瀬川左岸で発見されたと記されている。以来、調査が行われていない。
吉富さんは夫の政宣さんと共に連日、河原に通って作業する中で、長年探し求めていたオカウツボを発見した。2人は「ロマンがある」「地元の人にも関心を持ってもらえれば」と話す。
安曇野市豊科郷土博物館によると、オカウツボは1980(昭和55)年以降、松本平で数件の公式記録が残されている。県植物研究会会員で、「白馬村誌」「大町市誌」の執筆にも関わった伊藤健さんは、知らせを受けて現地に駆け付けた。「初めて見た。貴重なものであることに間違いはない」と話す。