長野県大町市の「市立大町山岳博物館」(大町市大町)で飼育しているニホンライチョウの産卵が6月6日夕方、始まった。
雌雄共に2016(平成28)年に乗鞍岳から採卵・人工ふ化させ、同館で成育した個体。6月2日に同居を始め、その後、交尾行動が確認され、6月9日までに2個の卵が産まれた。今後は母鳥に抱卵させて、ひなを育てさせる自然繁殖を目指す。
1963(昭和38)年からライチョウの飼育に取り組んできた同館。2004年に一度途絶えたが、2016年に飼育を再開。現在は、雄3羽、雌3羽を飼育しており、昨年も受精卵が産まれたが、ふ化には至らなかった。
日本のライチョウは北アルプス、乗鞍岳など、2000メートル以上の高山帯に生息。絶滅の恐れがある動物として環境省のレッドリストにも指定され、国内に約2000羽が生息しているといわれる。現在、ライチョウの保護を目的に、同館を含めて全国7カ所の施設で飼育している。
同館学芸員の栗林勇太さんは「卵が産まれてホッとした。気を引き締めて慎重に見守っていきたい」と話す。