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長野・大町宿の「町並み」資産保全へ 大町市と信州大学連携

手作りの地図を用いて町並みを調査

手作りの地図を用いて町並みを調査

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 長野県大町市は4月、信州大学との連携・協働により、歴史的な建造物などが点在する市内の「町並み調査」を始め、年度を通して調査を継続する。

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 松本と糸魚川を結ぶ千国街道の中間地点として栄えた歴史的背景を踏まえ、文献資料から旧大町村大町宿(現在の大町市街地)の町並みの変遷を広く調査。地域住民にも調査結果を開示し、改めて町並み全体の価値を見出し、地域資産保全と地域活性化への利活用につなげる。

 同大工学部建築学科の梅干野成央准教授に学ぶ学生らが定期的に大町市を訪れ、調査を重ねている。調査の中心になっているのは信大大学院総合理工学研究科工学専攻建築学分野梅干野研究室の修士2年・萩原由梨さん。萩原さんは大町市に伝わる文献を用い、江戸期に栄えた町並みを当時のように再現する「復原」に取り組み、家の規模と屋敷地割の関係に着目して町並みを解釈した卒業論文をまとめた。

 調査では萩原さんの研究成果を基に、かつて大町宿であった市街地に現在、どのような歴史的建造物が残されているかを細かくリサーチしている。萩原さんによると、大町宿は松本と糸魚川を結ぶ千国街道の中間地点であることから、土蔵造り一つ取っても松本地方の系統を受け継ぐものと、糸魚川の系統を受け継ぐ意匠が混在しているという。

 調査を重ねていくと、市街地周辺は一見しただけでは分からないが、江戸後期から近代の建築物まで、歴史的・文化的にも貴重な建築物が多数残されていることが判明。萩原さんらは「今ある建物だけでなく史料もしっかりと踏まえ、大町の歴史がどのように重ねられてきたのかを明らかにしていければ」と話す。

 研究の成果を基に、将来的には特に歴史的な景観を形成している「創舎わちがい」(大町市上仲中町)の登録有形文化財への登録を目指すという。

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