「はなさかりゅうじい」が守ってきた夢農場(池田町陸郷)の桜が今年も、見頃を迎えている。
鳥が実を運んで自生したヤマザクラや「りゅうじい」という名で親しまれ1月に74歳で亡くなったオーナー水野龍二さんが植えた桜が「夢の郷エリア」と呼ばれる一帯を彩る。マネジャーで娘の道子さんは「今年はすごくきれい。天国に見ていてくれるかな」と話す。
龍二さんは、かつて盛んだった養蚕業の衰退とともに荒廃していくふるさと陸郷の桑畑を憂い、一帯を桜の地にしようと30年ほど前、桜の植樹を始めた。
大勢の観光客が訪れるようになった現在も活動に精を出していたが、突然の他界。亡くなってから初めて迎える春、龍二さん愛し続けた桜が満開の花を咲かせ、辺りをピンク色に染めている。
一帯では桜の他に桃や梅、ムスカリなど春の花も咲き始めている。晴れた日には大勢の見物客が花を眺めており、道子さんは「マスクなど新型コロナウイルス感染対策をしながら散策を楽しんでもらえれば」と話す。
農場は、桜を守ってきた龍二さんの遺志を受け継ぎ、環境を整備をしていこうと現在、クラウドファンディングサイト「レディーフォー」で5月10日まで、支援金を募っている。道子さんは「桜の整備には人の手が必要。協力をお願いしたい」と呼び掛ける。