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長野・大町で座談会 里山の持つ可能性で地域課題を解決する取り組み共有

信州大学准教授の茅野さんが講演

信州大学准教授の茅野さんが講演

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 「官民協働による里山・地域材の利活用」をテーマにした座談会が9月25日、長野県大町市の美麻公民館(大町市美麻)で開かれ、会場とオンラインで38人が参加し意見を交換した。

座談会には、さまざまな立場の5人が参加

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 企画は、美麻地域に住む5人から成る「美麻地域のエネルギーを考える会」。今年1月の結成以降、地域で生まれる木材の大半を占める「C材」に着目し、月2回のまき割り活動の他、地域のまきステーションの新設、チェーンソー講習会の企画、まきボイラーの助成に関する要望の提出など、積極的に活動を続ける。春には大町市の「人が輝くまちづくり事業」の補助金を獲得した。

 第1部の講演は、信州大学人文学部准教授の茅野恒秀さんが講師を務めた。パリ協定に始まる国際的な脱炭素の流れを、海外の動向、国内でも先進的といわれる長野県の取り組みの双方から解説。足元の「地域」に落とし込むためには、過疎化や空き家問題といった地域解決課題と組み合わせる必要があると提案した。

 第2部の座談会には、茅野さんを含む5人が参加。県からは北アルプス地域振興局の出口栄也さん、市からは農林水産課の伊藤淳貴さんが参加し、担当する政策について解説した他、行政の果たす役割についても考えを示した。白馬村でまきや沢水を使った冷暖房を実践する宿「イルボスコ」の宗川公紀さん、主催団体代表の渡辺寛さんは、それぞれの立場で地域や環境のために実践していることを紹介した。

 会場からも、さまざまな意見が寄せられた。市内で林業を営む女性は「今日のような機会が官民協働の重要なプロセスになると思う。森の所有者の意見が出るなど、活発で良い議論ができたのでは」と話す。茅野さんからは「アイデアも、すべきことも出そろってきた。次はワークショップを開催しては」と提案があった。

 渡辺さんは「皆さんの本音が聞けたのがとても良かった」と手応えを語り、「今日の意見交流を元に、今後も森林の地産地消や地域交流、移住者との仲立ちを進め、人と木材とお金が回る仕組みを作っていきたい」と期待を込める。

 同会は11月14日、ドキュメンタリー映画「おだやかな革命」の上映会を予定。会の結成のきっかけにもなった作品で、自然エネルギーによる地域再生を訴える。会場はサン・アルプス大町。

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